中国越境EC市場分析- 天猫国際の独身の日から春節までのトレンドを紐解く

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中国では11月11日の独身の日(シングルデー)からはじまり、11月第4金曜日のブラックフライデー、12月24日のクリスマス、そして2月初旬の旧正月である春節と、ECサイトが大規模キャンペーンを行う時期が立て続けにやってくる。今回は、中国の越境ECサイトである天猫国際(Tmall国際)のデータを分析し、それぞれの商戦におけるトレンドやキャンペーン規模の違いなどを紐解いていく。
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中国越境ECにおける独身の日、ブラックフライデー、クリスマス期間が持つ意味

クリスマス以外のイベントは日本ではなかなか馴染みのないものではないだろうか。独身の日(シングルデー)は独身の日(11月11日)に行われるオンラインのビッグイベントで2009年から開始され、今では他のECモールなどでも実施しているものだ。続くブラックフライデーは元々、11月の第4金曜日から開催されるアメリカの年末商戦の初日を指すものであったが、最近では中国EC市場でも注目されているイベントとなっている。またこの連続するイベントの最後の旧正月は、中国の旧暦の正月のことであり、国民にとって最も重要な祝日である。この年末年始を跨ぐたった3ヶ月に集中するキャンペーン期間で中国の消費者はどのようにオンラインでショッピングを楽しんでいるのだろうか。

中国越境ECのキャンペーン毎の売上比較

まずはそれぞれのイベントの売上ボリュームを比較して見てみよう。
Tmall_キャンペーン毎の売上比較

このデータは2014年の独身の日(シングルデー)を含む2週間(11/3~16)、2014年のブラックフライデー(11/28)を含む2週間(11/17~30)、2014年のクリスマスを含む2週間(12/15~28)、2015年の旧正月期間(2/18~24)を含む2週間(2/16~3/1)の売上総額だ。こうして見ると独身の日(シングルデー)が他のキャンペーンを圧倒していることが分かる。その売上はクリスマス商戦の約4.3倍、3位のブラックフライデーの6.5倍、4位の旧正月の約8.2倍だ。日本ではあまりイメージがつかないかもしれないが、独身の日(シングルデー)というイベントは中国の季節キャンペーンの中で最大かつ他を圧倒した売上を誇っているようだ。
※天猫国際でブラックフライデーのキャンペーンが始まったのは、2015年以降であり2014年のデータはキャンペーン開始前であることに留意したい。
tmall_キャンペーン期間週次売上比較
週次での推移を見てみる。こちらも独身の日(シングルデー)週の売上が群を抜いており、他のキャンペーンの売上が非常に小さく見える。この週の売上は前の週の売上の約11.7倍となっており、その凄まじさが伺える。その他の期間では、クリスマス商戦の最盛期である12月中旬や旧正月前の1月下旬に若干の売上の伸びが見られる。しかし基本的にはこの期間は断続的にキャンペーンが続くため、それぞれの売上は独身の日(シングルデー)以外は分散しており、W11期間を除いて売上はほぼ横ばいの推移であるといってよいだろう。

中国越境ECのカテゴリ毎の売上

次に各キャンペーン別のカテゴリ毎の売上を見ていこう。
tmall_カテゴリ毎の売上
これは最初の図と同じく各キャンペーン2週間ずつの売上をカテゴリ別に見たものだ。上位を見ていくと1位はどのキャンペーンにおいてもマタニティ/ベビーとなっており、Tmal天猫国際(Tmall国際)では、どのキャンペーンにおいても常に一番人気があるカテゴリとなっている。それでは各キャンペーンにおけるカテゴリ別の人気の変化をもう少し見ていく。
tmall_カテゴリごとのシェア
ここでいくつかのカテゴリをピックアップして各イベントにおけるシェアの推移を見てみる。カテゴリ別のシェアを見ると、独身の日(シングルデー)とそれ以外で順位が一部入れ替わっているようだ。独身の日(シングルデー)では美容関連の方が食品/健康より高いが、独身の日(シングルデー)以外では逆になる。また、独身の日(シングルデー)ではデジタル製品の方がスポーツ用品よりも高いが独身の日(シングルデー)以外では逆になる。しかしそれ以外に大きな傾向の変化は見られないようだ。

中国越境ECにおける商品毎のランキング

次に各キャンペーン毎の商品ランキングを見ていこう
tmall_商品毎ランキング
これは最初の図と同じく各キャンペーン期間2週間ずつのカテゴリ別の商品ランキングを見たものだ。
各ランキング上位を見るとミックスナッツが目立つが、これはこの時期の天猫国際(Tmall国際)における大人気商品であった。他には紙オムツや哺乳瓶、粉ミルクといった乳幼児受けの商品が数多くランク入りしており、それらの需要の高さが伺える。また、独身の日(シングルデー)の商品ランキングの平均単価が約450元(約7,560円)であるのに対して、クリスマスの商品ランキングの平均単価が約184元(約3,430円)である。独身の日(シングルデー)の平均単価が高いのは、日本でもおなじみのIROBOTやタイガーの水筒がといった単価の高い商品がランクインしているからだ。それに対して、プレゼント需要の高まるクリスマスの商品の平均単価が低いのは予想外である。ブラックフライデーでは、ランクインしている商品が全て日本企業のものであり、特に紙オムツがよく売れているのが特徴的だ。また、旧正月では、他イベントで見られなかった「免税店電子ギフト券1,000ドル分」がランクインしている。さらに週単位で見ると、2/16の週から2/23の週にかけてミックスナッツ以外の商品が売上を伸ばしていることがわかる。旧正月は終盤にかけて売上が伸びる傾向にあるようだ。

中国越境EC市場におけるショッピングキャンペーンのトレンド

天猫国際(Tmall国際)における11月から2月までのキャンペーンイベントを比較したが、売上を見ると独身の日(シングルデー)の一強状態であることが分かった。日本での感覚からすると、クリスマス、春節、ブラックフライデー、独身の日(シングルデー)の順に認知が高いように思えるが、中国では想像以上に独身の日(シングルデー)の浸透度合いが高いようだ。国内でも楽天がスーパーセール(時期は不定期)を行っているが、そこまでの認知はなく、売上の集中度合いも独身の日(シングルデー)の比にならないだろう。また、中国国民にとって最大の祝日である旧正月春節の期間の売上を、最近注目され始めたイベントであるブラックフライデーが上回っている事実は非常に興味深い。しかし、これは天猫国際(Tmall国際)のデータ(越境EC用のECプラットフォーム)であるため実際には伝統を重んじる旧正月においては、中国国内商品の売上は増加しているとも考えられる。いずれにせよ、ブラックフライデーの中国での浸透からは目が離せない。現在、中国のEC市場は拡大の一途を辿っているが、さらなる市場の拡大には独身の日(シングルデー)以外のイベントにも力をいれていくことが必要となるだろう。なお、今回の記事では4つのイベントをピックアップしたが、既に8月8日はWechatが無現金日というキャンペーンを行っていたり、12月12日はW12と称してモバイルペイメント企業アリペイがキャンペーンを行っている。現時点では認知が高くないキャンペーンも数年後には非常に大きな売上を記録する キャンペーンに変貌している可能性も十分にある。今後も中国のECサイトがどういったイベントを育てていくのか注目していきたい。

この分析に用いたデータについて

この記事は株式会社アドウェイズ(以下アドウェイズ)・ADWAYS TECHNOLOGY LIMITED(以下アドウェイズテクノロジー)が提供するECデータ推計サービス 「Nint(ニント)」に基づき作成されています。記事中の数値はすべて「Nint(ニント)」 が独自のビッグデータ技術を用いて算出した推計値となり、紙面の特性上詳細なデータは省略しております。より詳細なデータをご希望の方はこちらからお問い合わせ下さい。なお、上記に展開されているすべての知的財産権等はアドウェイズ・アドウェイズテクノロジーが保有しております。またこの記事の執筆にあたり参考とした各サイトのクリエイティブなどは該当する各団体が権利を保有しております。
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