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市場規模6.4兆円!中国はライブコマースの超先進国!!

#中国のEC #越境EC #ECデータ

リアルタイムでライブ動画を視聴しながらオンラインショッピングできるライブコマースは、日本では大手ECモール「楽天市場」が「楽天Live」、「Yahoo!ショッピング」が「Yahoo!ショッピングLive」をサービスとして展開しています。SNSで人気の「Instagram」でも、ライブ配信が多く視聴されていたり、徐々に利用が増えてきているものの、まだまだ認知度は低く発展途上の段階です。一方、EC先進国の中国においては、大変人気かつ一般的な販売手法として定着しつつあり、2019年の市場規模は約4,300億元(約6.4兆円)という調査結果があります。

◆目次
中国ライブコマース市場規模の推移
淘宝(タオバオ)ライブで発表された2019年業績の一部抜粋
MCN(Multi-Channel-Network)機構TOP5
淘宝(タオバオ)ライブ2大カリスマインフルエンサー
2019年TOPインフルエンサー
タオバオライブ上位インフルエンサーの売上実績
まとめ

 

中国ライブコマース市場規模の推移

今回はライブコマースが盛り上がる中国で3月30日に開催された「淘宝(タオバオ)330ライブコマースセレモニー」とアリババが提供するライブコマースサービスである淘宝(タオバオ)ライブに関連する情報をご紹介します。

淘宝(タオバオ)ライブコマースの年間実績

「淘宝(タオバオ)330ライブコマースセレモニー」は、ライブコマースのインフルエンサーたちが一堂に会し、その年に誰が最も優れたインフルエンサーだったかを表彰する一大イベントです。昨年は豪華なイベント会場で大々的に開催されましたが、今年は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、会場は無観客で6時間ライブ動画が配信されました。


※左からウィッグ、CD、車、マンションをライブ配信で販売しているKOLたち

セレモニーでの発表によると、2019年度の淘宝(タオバオ)ライブコマースを通じた商品取引額は2,000億元(約3兆円)に達し、前年度の1,000億元(約1.5兆円)から2倍の成長を遂げており、淘宝(タオバオ)ライブがスタートした2016年から3年連続50%以上の成長を維持しています。さらにセレモニーでは、2019年に達成されたいくつかの業績が発表されました。

 

特に強調されたのは独身の日(シングルデー)の実績とMCN(Multi-Channel Network)機構の存在です。

独身の日(シングルデー)では、淘宝(タオバオ)ライブコマースを通じた取引額は200億元(約3,000億円)ということで、独身の日(シングルデー)1日の取引額のおおよそ10%となり、その影響力の高さを示す実績となりました。

また、MCN(Multi-Channel Network)機構は、日本の芸能事務所のような存在で、その数は1,000社以上となり、インフルエンサーのマネージメントから、マーケティング/商品販売を行っている会社です。クライアント企業はMCN機構を通じて、適したKOLに商品を宣伝してもらうことができ、またインフルエンサーも商品の仕入れや在庫を憂慮せずに商品を消費者に紹介することが可能になります。

 

こちらはNintデータによる淘宝(タオバオ)ライブ経由で2020年1月から3月の取引額が多いMCN機構TOP5です。

1位の「謙尋文化」は「淘宝(タオバオ)ライブの女王」の異名を持つviya(薇娅)が所属するMCN機構です。MCN機構が注目されるようになった1つのきっかけとして、viya(薇娅)が2018年独身の日に打ち立てた3.3億元(約51億円)の販売実績が挙げられます。Nintのデータによると彼女の扱う商品の平均単価が約135元(約2,080円)なので、単純計算すると2018年の独身の日には245万個の在庫を彼女1人のために用意したことになり、MCN機構が強力にviya(薇娅)をサポートしたからこそ実現できた実績であることがわかります。ライブコマース興隆の裏には、その興隆を支えるプレイヤーの存在があり、更なる市場の拡大に貢献しています。

 

淘宝(タオバオ)ライブ2大カリスマインフルエンサー

「330淘宝(タオバオ)ライブコマースセレモニー」では、その年の優れたインフルエンサーたちをカリスマインフルエンサー、TOPインフルエンサー、新鋭インフルエンサーとして表彰します。昨年のセレモニーでTOPインフルエンサーとして表彰されていたviya(薇娅)とAustin(李佳琦)が、今年はカリスマインフルエンサーとして表彰されました。

viya(薇娅)は「淘宝(タオバオ)ライブの女王」として、これまで数々の記録を打ち立ててきました。2020年最新の記録は、今回の330タオバオライブセレモニー期間初日に、4,000万元(約6億1千万円)のロケット(搭乗と関連サービス)の販売に成功したことです。彼女の2018年1年間の取引額は27億元(約405億円)でしが、2019年独身の日イベント期間のみで前年取引額を達成するなど、毎年数々の記録を更新しています。

viya(薇娅)は1985年生まれで一児の母でもあることから、彼女のファンには子供を育てる多くの女性たちがおり、また成功した女性起業家でもあるため、性別や年齢を問わず幅広い層にも支持されています。


※左はviya(薇娅)、右はロケットを販売しているライブの様子

淘宝(タオバオ)ライブから生まれたもう一人のカリスマは、「口紅アニキ」の異名を持つAustin(李佳琦)です。彼は大学を卒業後、ロレアル化粧品の美容顧問をしていた経歴があり、男性ながらに自身をモデルにして口紅や化粧品の使い方を女性たちにレクチャーする様子が人気を集め、ファン数は現在2,200万人にも上ります。

Austin(李佳琦)は1992年生まれで現在も20代という若さであることから、成功を夢見る若い世代にも絶大な人気を持つカリスマインフルエンサーです。


※左がAustin(李佳琦)、右はセレモニーでの受賞の様子

 

2019年TOPインフルエンサー

TOPインフルエンサーは、烈児ベビー(烈児宝貝)、kiki(陳潔)、jofay(小僑)3人の女性が表彰されました。このうち烈児ベビー(烈児宝貝)は前年度のセレモニーで、viya(薇娅)、Austin(李佳琦)と一緒に表彰されており、淘宝(タオバオ)ライブスタートからこれまで4年間ずっとTOPインフルエンサーの常連です。


※左からkiki(陳潔)、烈児ベビー(烈児宝貝)、jofay(小僑)

 

タオバオライブ上位インフルエンサーの売上実績

最後にNintデータを元に、2020年1-3月の売上上位インフルエンサーTOP10と販売ブランドをご紹介します。

1位、2位のviya(薇娅)とAustin(李佳琦)は、1ヶ月約170億円以上の売上、またランキング10位のインフルエンサーで月平均約6.5億円の売上ということで、上位インフルエンサーの販売力の高さがよくわかります。また販売している主なブランドは美容関連のブランドが多くなっていますが、最近はインフルエンサー独自のプライベートブランドの商品も人気になっており、今後の展開に注視したいところです。

 

まとめ

中国ECでの販売拡大には今後ライブコマースの活用が必須となりそうです。多くのブランドが注目する人気インフルエンサーは起用する費用もますます高額になると想定されるため、自社に適したインフルエンサーを起用し、他社との差別化を図りながら、マーケティング戦略を立てる必要があります。


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