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新型コロナウィルスの影響による中国EC市場の動向は?

#中国のEC #越境EC #ECデータ

中国武漢から感染が広まったとされる新型コロナウイルス。感染拡大が報道されるようになった20年1月中旬以降の中国消費者の消費動向をNintの中国ECデータより分析し、特に売上の増加が顕著であった商品群について紹介します。
(注)
文中で用いた数値は全てNintが提供する中国ECデータ分析サービスを利用して分析した推計データです。
売上集計期間:2020年1月17日~2月13日(昨対比:2019年1月28日~2月24日)
※コロナウイルスが拡大した中国の旧正月(春節)前後4週間を対象。昨対比は同様に昨年の旧正月前後4週間。

急上昇商品:ウイルス対策アイテム(マスク/ゴーグル/防護服)

マスク、ゴーグル、防護服といったウイルス対策アイテムは売上が爆発的に増加しており、前年度の同期間と比較するとマスクは183倍、ゴーグルは97倍の売上となっています。ゴーグルの売行きがこれほど高いのは、新型コロナウイルスが口や鼻への感染のみでなく、目からも感染が確認されていると中国メディアで注意喚起されたことが影響していると考えられます。

マスクは新型コロナウイルスの拡大で最も売上上昇率が高くなった商品ですが、消費者の需要に対して安定して供給し続けることができず、そのほとんどが品切れ状態となってしまいました。今後のマスクの売上は、生産供給と一部規制がかかっている物流の復旧速度に大きく左右されそうです。

次にマスクのブランドで見てみると、幼児専用マスクを主力商品として扱う中国ブランド「南丁」が1位を獲得しています。これは同ブランドが潤沢な在庫を保有し、迅速に発送対応ができたことで他を大きく引き離したことが要因となっています。同様に中国ブランド「百立徳」等の4ブランドは、1月後半に初めてマスクカテゴリでTOP10入りを果たしました。これとは逆に「3M」「ハネウェル(霍尼韦尔)」「pitta」等の海外ブランドは在庫不足の影響を受け、Tモール全体のマスク商品売上昨対比を下回る結果となりました。

急上昇商品:洗浄ケア(手洗い洗剤・消毒液・医療用消毒製品)

新型コロナウイルスが猛威を振るう中、中国人消費者はマスク・ゴーグルなどの外出時のウイルス対策アイテム以外に、居住区域や室内を清潔に保つための消毒製品にも大きく関心を寄せていたことがわかります。ハンドソープ、消毒液などの家庭で日常的に使われるものから、医療機関で利用される消毒製品(アルコール度数75度のスプレー、消毒液)も売上が大きく倍増していました。

さらに医療用消毒製品の春節週次売上推移を見てみると、感染拡大を受けて消費者の需要が非常に高まってはいるものの、ウイルス対策アイテムと同様に在庫切れの状態となっているため、今後数週間の販売再開に期待が寄せられます。


過剰な需要から多くの商品が在庫切れとなる中、一部のショップでは30日後発送の予約販売を開始し、市場のニーズを取り込もうとしていることもうかがえます。

急上昇商品:健康食品(ビタミン)

マスクや手洗い・消毒といったウイルス対策に加え、身体の中から免疫力を高めて感染を防ぐ目的で、健康食品の中でもビタミン入りの商品の売上が大きく伸びました。

ウイルス感染拡大時期に売上1位となったビタミン商品は、バイエル薬品傘下の「Redoxon(力度伸)ビタミンC」でした。1月24日から爆発的に売上を伸ばし続け、1月21日にはなんと販売数が通常の40倍近くにも達しました。ユーザーレビューを見ると「こんな時期だから有名ブランドの安心な商品で免疫力を増強したい」「こんな時期だけど発送が迅速でよかった」という評価が目立ち、通常時のブランディングに加え、チャンスを逃さないEC運営体制が伺えます。


※画像はTmallよりキャプチャ掲載
商品名:
Redoxon力度伸泡腾片粉剂软糖高VC增强抵抗力补充维生素C提升机能
販売価格:
38.7元(約600円)
ブランド:
Redoxon

急上昇商品:消毒/殺菌機能搭載の家電

消毒/殺菌機能を持つ生活家電製品はPM2.5の影響もあって以前より人気が高まっていましたが、今回の新型コロナウイルス拡大によって、より顕著な需要増大が見られます。掃除機、空気清浄機、掃除ロボットなどは依然として人気の高い商品であるほか、スチーム掃除機や除菌器/滅菌器などの新興家電は、ウイルス殺菌消毒という新型コロナ感染時期における消費者ニーズとマッチし、急速に売上を伸ばしています。他にも、殺菌機能搭載のライトも爆発的な人気となっており、新しいマーケットとして今後の拡大に注目が集まります。

殺菌ライト(紫外線ライト)での売上急上昇商品例


※画像はTmallよりキャプチャ掲載
商品名:
フィリップスの殺菌ライト(紫外線ライト)
販売価格:
340元(約5100円)

客間の消毒、ダニを殺菌・除菌が気になる方向けの商品。紫外線ライト。1月に約23600台を販売。

消毒ボックス/滅菌器での売上急上昇商品例


※画像はTmallよりキャプチャ掲載
商品名:
59S(59秒)の消毒ボックス
販売価格:
899元(約14000円)

スマホ、メガネ、マスクなどへの滅菌消毒を希望される方向けの商品。1月に約3000台を販売。

まとめ

中国で広がった新型コロナウイルスは、中国政府の主要都市の都市封鎖政策などにより、感染者の増加人数は着実に右肩下がりになっています。しかし中国EC市場は、一部の物流規制や在庫切れの問題が未解決のため、完全な復旧にはもうしばらく時間がかかりそうです。変化するマーケット/消費者動向を早期に把握し、チャンスを逃さないように戦略をスピーディに立てることが非常に重要です。


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